海外ロマンス小説読書レビュー:ボスに囚われて  著)ダイアナ・パーマー 


ボスに囚われて ハーレクイン・ディザイア傑作選
ダイアナ・パーマー
ハーレクイン
2017-05-18


原題: Bound by Promise
著: Diana Pamer
ハーレクイン・デザイア傑作選



【あらすじ】
キャサリン・サマーズ(ケイト/ヒロイン)は、
避暑のビーチハウスに来ていた。

ロマンス作家のモードの秘書として、
作品の仕上げを手伝うためだ。

ケイトは仕事の合間をぬって、湖畔に行くのがすきだった。
それは別れた恋人を思い出してしまうけれども、
湖畔がそれを癒してくれるからだ。

湖畔には、決まって一人の男性がいた。
名前は、ギャレット(ヒーロー)。
航空機製造会社の社長である。
ギャレットは、才能をかわれ国際的評価の高かったが、
ケイトはいまいち好きになれなかった。
理由は、ギャレットはお金で何でも買える、
というふしがあったからだ。

ケイトには恋人がいたが、別れた。
理由は、「お金」。
ケイトの家は、牧場主だがけして裕福とはいえない。
それを伝えたときに、
相手の両親にお金がないことを理由に、
恋人との交際を断られたからだ。
ケイトはひどく落ち込んでいた。

ケイトが湖畔の丸太に座っていると、
ギャレットがつかさずやってきた。
「不法侵入」といいケイトを追い払う。
ケイトがいた場所は、ギャレットの持ち物でもあった。
ケイトは、そんな傲慢なギャレットが嫌いだった

別荘に戻ると、作家のモードが待っていた。
父親の様態が悪くなり、パリに戻ることになったからだ。
しばらく、ケイトはひとりで別荘地で過ごすとになる。

ひとりになったとたん、悲しみが思い出された。
あの別れた恋人のこと。
お金のことで別れるのが、たまらなく悲しかった。

行き場のない怒りと悲しみをを吹き飛ばそうと、
クルーザーに乗り湖を勢いよく走っていた。
物思いにふけて目が覚めたとき、
湖で泳いでいたギャレットがいた。時すでに遅し。
回避したけれども、結局ギャレットに怪我を負わせてしまう。
怖くなり逃げてしまうケイト。

翌日電話をすると、生きていることがわかった。
しかし、生きるかわりに視力と記憶を失っていた。
罪悪感に悩むケイト。
湖畔で再会したときに、ギャレットはケイトにいう。
「僕のところで働かないか」と。



【感想とネタバレ】
突っ込みどころ満載な今回のロマンス。

物語の展開はテンポよかったし、
ヒーローとヒロインのロマンスの掛け合いはよかった。
ただ、ヒロインとヒーローの性格に難が。
ふたりとも、性格が短気なんですよね~ ;^^)
それから、書かれたときの時代背景。
当時はよかったんでしょうが、
今の時代とはそぐわないかな、と。

というわけで、
全体的にロマンス度がマイナスになりました。

----------------------------
時代にあわないセリフ
----------------------------

ところどころ気になるセリフが。
ヒロインのことを「お嬢ちゃん」と呼んだりするところが、
いまいちロマンスにかけるというか。残念な感じ。

ヒロインが、ヒーローに向かって「サー」と呼ぶセリフ。
ヒーローが雇い主なので、ヒロインが敬意をこめて呼ぶのですが、
ロマンス度がかけるところが。訳すのって難しいところです。

----------------------------
短気なヒロインとヒーローはいらない
----------------------------

ヒロインの性格が「短気」という設定が、いまいちです。
カッとなって、クルーザーを運転して、人をひいてしまうなんて。
運転するときは感情をコントロールしましょうね。
半ば、ヒステリックなところがあるので、あなたの運転、怖いです。
ちょっとありえないな、と思いました(笑)

ヒーローは、傲慢な設定なんですが、傲慢すぎるかなー。
突然乱暴な口調になったり、ヒロインに八つ当たりするところは、
今だったらパワハラでしょう、みたいなところが。


よかったところ
----------------------------
ふたりの駆け引きが、どきどきするロマンス
----------------------------

唯一よかったといえるところは、
「ロマンス度」が感じられました。

この部分だけ切り取ってもいいくらいです。
ふたりの寄り合いのシーンは、やはり見事です。
デザイアシリーズなのに、
めずらしくベッドシーンがなかったのが、ちょっと意外。
ロマンスだけだったら、何度も読んでもいいな、と思いました。

昔の作品は、今の時代にあわせて、
訳を改めていただけると、楽しめるかも。
当時の言葉や差別用語を合えて使う、というのも悪くはないですが。
次に期待!